現在、沖縄のDouble Volante(ダブルボランチ)さんで、bridge 3rd modelの本生産中ですが、ここでは、サンプルで作った2本目のジーンズの写真をご紹介します。
本生産品とほぼ同じ物なので、参考にしてみてください。
写真が大量なので、解説は簡単にします。
bridge 3rd model(サンプル)全体
股上がやや浅く、コシとモモ周りにたるみのないシルエット。
参考までに、brdige 2ndの全体
股上が深く、コシとモモ周りにゆとりがあります。
2ndと3rd(サンプル)を並べる
どちらも未洗い状態のウエスト30インチです。
左が3rd、右が2nd。
2ndと3rd(サンプル)を重ねる
上が3rd、下が2nd。
3rd(サンプル)の詳細
ジーンズの顔ともいえるヒップ周辺。
ステッチの太さとピッチに強弱をつけて、生のフラットな状態でも表情が出るようにしてあります。
全ての糸使いに意図があります。
遮光布
エイジングの激しい革パッチを遮光布で覆う事で保護しています。
写真では、オレンジの糸で縫っていますが、本生産は、白くてもっと細い糸で縫います。縫い針もなるべく細いもので。
裏から見ると
わざと、糸調子を悪くしています。
これは、國吉さんの工夫で、こうする事でお客様が糸を解きやすくなります。
バックポケット口
ここの2本のステッチは、2本針のミシンでいっぺんに縫うのではなく、1本針のミシンで2回縫っています。
パッカリングを狙った、ある工夫がしてあります。
バックポケット外周ステッチと飾りステッチ
外周は太めの糸でピッチを大きく。飾りは細めの糸でピッチを細かく。
糸の素材は、綿ではなく麻です。麻は綿に比べて発色がやや強く、ステッチへの気遣いが、より強調されます。
(粗が出やすいので、縫う人は大変です)
ピスネーム(タブ)
素材は、クタッとなりやすいレーヨンです。ややベージュがかった下地に白文字が入ります。
隠しリベット部分
私のオーダーと國吉さんの工夫で、盛り上がりが強くなっています。
バックポケット外周ステッチの渡し
外側のステッチを終えて内側に移る際に、糸を切らずに渡しています。ヴィンテージジーンズに見られる仕様です。
(糸切りの機能がなかった昔のミシンでは、手でいちいち切らないで、針をいったん浮かして横に移動した方が早かったんでしょう。)
本生産では、隠しリベットの両脇には、返し縫いが入ります。
バックヨークと尻合わせ
ヨークと尻合わせの巻き縫い部分は、太い糸を使っています。ステッチに強弱をつけたヒップ周辺では、一番強さを主張しています。糸の太さもあって2色の違いもハッキリしています。洗いこむ事でどこまで色が馴染んでいくのか、楽しみです。
強く縫ってあるので、パッカリングも期待大です。
ウエストの帯下
ここは細めの糸を使用して、食い込ませてあります。いいアタリが出そうですね。また、生地の折り返しとステッチ、の間隔がやや広いので、これまた、いいアタリが出そうです。
飾りステッチ
飾りステッチは、かなり細かくして、すぐに切れないようにしてあります。ある程度色落ちしてから切れて抜ける事で、ステッチの跡が濃いブルーで残るように。(説明、伝わりにくいですかね・・・)
コシ周り(フロント)
ステッチの太さ、ピッチに変化をつけています。
ベルトループを2パターン試す
ステッチ使いに悩んで、2パターン縫ってもらいました。
パターン1.
一つは、細い糸でピッチを細かく食い込ませるように。中盛りが強調される効果を感じます。
パターン2.
もう一つは、太めの糸でピッチを大きく。採用するのはこちらです。
幅が広めのガッチリしたベルトループには、このステッチが合っていると感じました。新品時には前者に比べてフラットな印象になりますが、色落ちが進む事で中盛り感が出てくるでしょう。私、お楽しみは後に取っておくたちです。
トップボタン
「DOUBLE VOLANTE」の刻印ボタンです。ここは、私がお願いして付けてもらいました。
フロントボタン
表にアタリが出やすい物を選んでいます。
リベット
「UNIVERSAL」刻印の打ち抜きリベット。
頭の潰れ具合とはみ出す生地の雰囲気、いいですよね。
コインポケット
耳のちら見せに、パッカリングが出やすいステッチング。
フロントポケット
ポケット口の裏側は、パイピング仕様になっています。糸切れを起こしにくくする為の、國吉さんの工夫です。
ポケット口周辺の生地にヨレが出ています。これは、口のダブルステッチを裏側から入れている為です。表から縫えば、ヨレが出ないように目視して引っ張りながら縫う事が出来ますが、國吉さんはあえて裏から。
パイピングができるメリットもあります。
穿き込むにつれて、どんな色落ち、表情が出てくるのか楽しみです。
股
股のステッチは、ボタンを一番下まで外してしまうと開いた際に大きな負荷がかかります。そこで、ここは、太い番手で、なおかつ返し縫いを入れて強度を出してあります。
コシ横のステッチ
太めの糸で、距離を長く縫っています。穿いた際に横から見ると、力強いステッチがいいアクセントになります。
ピッチは、太い糸とのバランスを取って、やや大きめです。
インシーム
コバステッチ(折り返し部分とステッチ間)の幅を広くする事で、独自なアタリが出るように狙っています。
本生産では、下の写真より、ピッチをやや大きくします。
denimbaネーム
フロントポケットの袋布にdenimbaネームが付きます。
耳のウネウネ
耳の縫い合わせは、あえてウネウネ、幅を不均一にしてもらいました。均一な幅でキレイに縫うのに慣れている國吉さんにとって、かえって難しいそうです。
微妙な手加減なので、製品時にはかなり個体差が出ると思います。うねりが強い物、弱い物。
下の3枚の写真から、単に合わせるステッチを曲げているだけではない事が、伝わるでしょうか?
この生地の耳は、縁が内側に巻き込みやすいので、いいアタリが期待できます。
写真は未洗いの状態ですが、洗うともっと巻き込みが強くなります。
縫製による不均一な耳幅と、生地の性質による耳の巻き込み効果によって、表に出るアタリが、かなり楽しめそうですね!
革パッチ
遮光布をはがすと
こんなに綺麗な革パッチが顔を出します。
鮮やかな黄色が、濃いインディゴブルーに映えます。
まとめ
結局、沢山の写真と説明になってしまいましたが、お付き合いいただき、ありがとうございました。
お疲れ様でした(笑)
まだまだ細かく解説できますが、1冊の本が出来る勢いなので、今はやめておきますね。
現在、販売に向けて、急ピッチでDouble Volante(ダブルボランチ)さんの作業が進んでいます。
ダブルボランチさんのブログでは、製作過程が随時公開されているので、ぜひそちらもチェックしてみてください!
デニム Double Volante